2026年度から、健康経営度調査に「睡眠の質向上に向けた取組」が新しい項目として加わりました。睡眠は、健康経営の中で独立したテーマになりつつあります。
一方で、制度が始まって10年あまりが経ち、健康経営には「施策をそろえる」ことに加えて「その成果を示す」ことが求められ始めています。SHI(シー)は、PVT(精神運動覚醒検査)を基盤とした検査OSDATで、睡眠負債による日中のパフォーマンスの低下(プレゼンティーズム)を客観的に可視化し、睡眠対策のPDCAを回す土台をつくります。
健康経営で「睡眠」が独立したテーマに
2026年7月に閣議決定された「骨太の方針2026」には、「睡眠対策を含む健康経営の推進」が明記されました。これを受けて、2026年度(令和8年度)の健康経営度調査(大規模法人部門)では、「睡眠の質向上に向けた取組」が新たな調査項目になりました。これまで睡眠は、「従業員の生産性低下防止への施策」の中の一項目として扱われていました。
健康経営度調査(大規模法人部門)「具体的な健康保持・増進施策」の項目の変化
令和7年度(2025年度)
- 食生活の改善に向けた取組
- 運動機会の増進に向けた取組
- 従業員の生産性低下防止への施策
(睡眠、肩こり・腰痛、飲酒、花粉症、眼精疲労などを含む) - 長時間労働者への対応に関する取組
- 心の健康保持・増進に関する取組
令和8年度(2026年度)
- 食生活の改善に向けた取組
- 運動機会の増進に向けた取組
- 睡眠の質向上に向けた取組新設
- 従業員の生産性低下防止への施策
(肩こり・腰痛、飲酒、花粉症、眼精疲労などを含む) - 長時間労働の予防と事後対応
- 心の健康保持・増進に関する取組
経済産業省が選定・公表する「テーマ別ベストプラクティス」のテーマにも、「睡眠の質向上に向けた取組」が入りました。審査では、先進性・横展開の可能性・実効性が問われます。
「施策をそろえる」から「成果を示す」へ
健康経営銘柄の選定が始まってから10年あまり。銘柄に通算10回以上選ばれた企業を対象とする「健康経営銘柄Premier(プレミア)」も新たに創設されます。制度が成熟するにつれて、問われる中身も変わりつつあります。
- 成果(アウトカム)での評価へ政府の会議では、健康への投資や施策を「アウトカム指標での評価に転換していく」方向が示されています。
- 情報開示の指針づくり経済産業省は「健康経営に関する情報開示の指針(仮称)」を年内に策定する予定です。現在は、開示指標の定義や測定方法にばらつきがあることが課題とされています。
- 人的資本との連動2026年3月に公表された「人的資本可視化指針(改訂版)」では、従業員の健康が、企業価値の向上につながる人的資本投資の主要な観点の一つに位置づけられました。
健康経営優良法人の認定要件でも、「健康経営の実施についての効果検証」は必須の項目です。施策を実施するだけでなく、その効果を確かめて次の改善につなげることが、これまで以上に重要になっています。
睡眠対策の多くは「施策の導入」にとどまっている
令和7年度の健康経営度調査では、睡眠障害や業務中の眠気による生産性低下の予防として、仮眠室の設置(60.8%)、睡眠関連指導の導入(47.1%)、睡眠改善アプリの導入(39.6%)などが行われていました。
睡眠障害・業務中の眠気による生産性低下の予防として行っている取組(複数回答)
一方で、こうした施策が従業員の日中のパフォーマンスにどう結びついたかを確かめる方法は、各社に委ねられています。経済産業省の資料によると、主要101社のうち84社がプレゼンティーズムなどの生産性に関する指標を開示していますが、測定方法は東大SPQ、WHO-HPQ、独自アンケートなどさまざまで、定義・測定方法のばらつきが指摘されています。いずれも、本人が回答する質問票による測定です。
プレゼンティーズムを客観的に測る──睡眠負債とパフォーマンスの可視化
SHIは、睡眠中ではなく起きている間のパフォーマンスを測ります。OSDATは、画面に合図が出たらできるだけ早く反応する課題を3分(簡易検査は1分)行い、反応の速さと見逃しから覚醒度を評価します。本人の自己評価に頼らず、日中のパフォーマンスの低下を客観的な数値で捉えられます。
OSDATの本検査は、順天堂大学の研究で主に使われてきた3分間のPVTと同じ長さです。研究の場で使われてきたPVTを、職場で毎日使える形に社会実装しました。研究の詳細はPVTとOSDATのエビデンスをご覧ください。
自己評価と、客観的なパフォーマンスはずれることがある
PVTを用いた研究では、1日6時間の睡眠を2週間続けた人の成績が、徹夜を1〜2晩続けた場合と同じ程度まで低下した一方で、本人が感じる眠気はわずかしか増えなかったと報告されています(Van Dongen et al., Sleep, 2003)。
睡眠時間だけではわからない
PVTの開発者であるDinges教授らと当社CTOの谷川らが医師を対象に行った調査では、燃え尽き症候群やうつ病との関連は、睡眠時間よりも、PVTで測った客観的な覚醒度のほうに強く見られました(Wada et al., J Sleep Res, 2025)。パフォーマンスの低下には、睡眠不足だけでなく、抑うつや燃え尽きなど心身の状態も関わります。OSDATの結果は病気を見つけるためのものではなく、睡眠や働き方、体調を振り返るきっかけとして活用します。
SHIで回す睡眠対策のPDCA
測定を一度で終わらせず、施策の前後で同じ指標をくり返し測ることで、睡眠対策を「やりっぱなし」にしない仕組みをつくれます。
PLAN
現状を測る
OSDATで覚醒度を測り、組織の傾向と課題を把握します。
DO
打ち手を実行する
睡眠に関する学習コンテンツや、仮眠・休憩の運用など、課題に合った施策を行います。
CHECK
変化を確かめる
同じ指標で、施策の前後を比べます。
ACTION
方針を見直す
変化の見えた施策を続け、次の打ち手を選びます。
客観データOSDAT・実施記録
SHIでできること

STEP 1
測る
スマートフォンやパソコンでOSDATを実施します。専用の機器は不要です。

STEP 2
気づく
結果はその場で表示されます。睡眠専門医が監修したコメントとショート動画で、改善のきっかけを届けます。

STEP 3
続ける
検査と学習の履歴は自動で記録され、管理画面で個人・組織の実施状況を把握できます。健康経営の取り組みの記録としても活用できます。
睡眠の専門家から
日本睡眠学会 副理事長の千葉伸太郎先生(太田総合病院記念研究所 太田睡眠科学センター所長)から、OSDATを「日中の覚醒度を科学的に測る新しい指標」と評価いただいています。メッセージを読む
よくある質問
健康経営度調査の睡眠の項目と、SHIはどう関係しますか?
SHIは、睡眠の質向上に向けた取組を進めるときに、その効果を日中のパフォーマンスという客観的な数値で確かめるための仕組みです。施策の前後の変化や実施の記録は、取り組みの効果検証や社内外への説明の材料として活用いただけます。なお、SHIの導入によって健康経営度調査の評価や認定の取得を保証するものではありません。
プレゼンティーズムの指標として使えますか?
OSDATは、日中の覚醒度を客観的に測る検査です。質問票によるプレゼンティーズムの測定と組み合わせることで、自己評価だけでは見えにくい状態を補うことができます。指標の設計や活用の方法は、お気軽にご相談ください。
睡眠アプリやウェアラブル端末とは何が違いますか?
睡眠アプリやウェアラブル端末は、主に睡眠中の状態を記録します。SHIは、睡眠の結果として表れる日中のパフォーマンス(覚醒度)を、専用の機器なしで測ります。
病気の診断はできますか?
診断を目的とするものではありません。結果は、睡眠や働き方、体調を振り返るきっかけとしてお使いください。気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。
オンラインのデモで、OSDATを体験いただけます。
資料請求・お問い合わせ監修:谷川 武(日本睡眠学会 睡眠医療専門医・指導医、医学博士/順天堂大学大学院医学研究科 公衆衛生学 主任教授)
出典:
・経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営優良法人2027申請開始ウェビナー 今年度調査票/申請書の用語解説」(2026年8月27日)
・経済産業省「今年度施策及び調査等の方向性について」(第6回健康経営推進検討会 資料2、2026年7月14日)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/006.html(2026年10月15日に利用)
・健康経営優良法人認定事務局「健康経営優良法人認定事務局の活動及び申請認定に関するご報告」(第6回健康経営推進検討会 参考資料1-1、2026年7月14日)
・Van Dongen HP, Maislin G, Mullington JM, Dinges DF. Sleep 2003;26(2):117-126.
・Wada H, Basner M, Cordoza M, Dinges D, Tanigawa T. J Sleep Res 2025.